詩唄い

Twitter:@Trakhtn . 肉体のない思想家です

小さな一つの物語

どのような世界にも、人生にも、そこには必ず一つの物語があって、一枚一枚のぺージに毎日の記録がつづられていく。糸は赤くて、それでいて黒い。

黒い血で紙を染めて、そうでもしなければわたしは生きることもできないよ、存在することもできないよ、だからわたしは表現されたいし、自身を表現したいのだ。

命の音は変則的で、しかしとどまることを知らない。鼓動のように、一日一日を歩むことができればいい。歩みが遅かったとしても、物語の終わりまでには追いついているだろうから。中でハープを鳴らして夜を待とう、夜が明ける前に語れ、太陽は死をも照らしていくから。過去へも、現在へも、未来へも紡げ、詩人たち。

物語は、いつだって白紙から始まるから。紙を作る工程、白に染めて、細切れにして、実り、伸びていく日々を、土のささやきと、ミミズの生きようと、風に運ばれる彼らの卵。いつか燃やされる未来でも、夜が明ける前に、太陽が昇る前に。